気になる方はお早めに
高校時代の話しです
いきなり大学に行きたいと思ってしまった僕は、親のスネをかじり、東京代々木ゼミナールに通っていました(結果的に大学には行きませんでした。そのくだりは省きます)
代ゼミに向かう前、自宅から当時お付き合いしていた彼女に電話しました
「今日、渋谷まで来ないか?」
デートの誘いです
僕は当時、渋谷にはちょこちょこ出かけていました
バンドをしていたという事もあり、何かと東京には遊びに行っていました
「オレ、渋谷分かるし」みたいな粋がりがあったかと思います
渋谷を分かったような顔して案内したかったという、若かりし日の粋がりでした
僕の誘いに彼女はのりました
各駅停車で90分
決して近くはない距離を、彼女は1人で電車に乗り来ることになりました
ウブな彼女だったので、1人で渋谷まで来るのは、少しドキドキしたかもしれません
それでも
不安より、「渋谷でデート」というワードにワクワク感があったのでしょう
ゼミが終わり、僕は渋谷まで向かいました
渋谷駅に着いてから、バカな僕は気が付きました
「渋谷駅の、いったいどこにいるんだ?」
そうなんです
駅で待ち合わせ…としか言いませんでした
当時、彼女は渋谷のことなど分からないでしょう
僕も僕で、そこは思いっきり抜けていました
地元の駅なら「駅で待ち合わせ」で十分会えます
その感覚と一緒にしてしまいました
でもここは渋谷
駅の規模も人間の数も全く違います
32年前の高校生
やっとポケベルが、極々一部のビジネスマンが使い始めたくらいです
携帯に関しましては
それこそ極々極々一部の、とんでもないお金持ちが、どデカい携帯の時代です(平野ノラさんの、シモシモ?のギャグで使うデカい携帯電話。めったに見たことありませんでした)
32年前
携帯もポケベルも持つ時代ではありませんでした
自宅を出てしまったら、連絡を取り合う事ができないのです
それが当たり前の時代です
僕は自分の頭の悪さ
ツメの甘さに怒りを感じていました
ウブな田舎の女子高生は渋谷に呼び出され、今頃不安にかられているだろう
必死で探しました
「あちこち動くより、ハチ公前でジッとしていた方がいい」
しかしいくら待っても現れないし、ハチ公前も人でごった返し
モアイ像前あたりかもしれない
改札口で待っているかもしれない
「同じようにジッと待たれていたら会えない」
そう思い返して探し始めたり、やはりジッと待ったり
その繰り返しです
「呼び出しといてオレはいったい何をしてるんだ」
自分の楽観的なアバウトさを本当に恨みました
もし彼女も探しているかと思うと、帰る事ができません
駅から離れる事ができず、右往左往したりジッと待ったり
交番にも行きましたが、着てくる服装も聞いてないので曖昧な特徴しか言えない
事件でもないただの待ち合わせを、真剣に聞いてくれる風でもない警察官
3時間くらい過ぎてからでしょうか…
「きっともう諦めて帰っているだろう…帰っていて欲しい」
そして渋谷を後にしました
当時は家電話しかない時代
彼女の電話番号も家に帰らないと分かりませんでした
(※親が出ると気まずいので、あまり電話はしませんでした。そういう時代です)
もう遅い時間で、彼女の家に電話するのを躊躇いましたが、それよりも気になって気になって仕方ありませんでした
彼女の家に電話をしたらお母さんが出て、彼女を呼ぶ声が電話越しに聞こえました
自宅にいると分かり、その瞬間ガクンと力が抜けました
「良かった…」
彼女は僕と同じように、ジッと待ったり探したりを繰り返し、僕が諦めるちょっと前に電車に乗ったらしい
僕の方が後だった事がせめてもの救いでした
呼び出しといて先に帰ったとしたら、あまりにも申し訳ない
まだ17歳男子
当時は今とは真逆の性格でした
ぶっきらぼうで愛想がない
言葉足らずも酷いものでした
帰宅してくれていてホッとはしたものの、すぐに謝る事ができませんでした
素直に謝るというスキルは、当時の僕には国立大学合格なみに難しかった
そんな事はお構いなしに彼女は言った
「ごめんね、大丈夫だった?どうしても見つけられなくて帰っちゃって…ほんとごめんなさい」
僕が悪いのに謝られてしまい、「うん全然大丈夫だから」としか言えなかった
大丈夫ってオマエが言うな!と、今の僕は17歳の僕の頭を叩きたくなります
僕が彼女の父親なら「渋谷に娘1人呼び出した!?しかもいなかった!?そんな適当で無責任な男、すぐに別れなさい!結婚したら一番苦労するタイプの男だ!」
きっとそう言うだろう
ツメが甘い男は、女を守れない
あらゆる角度からその男のダメさ加減を言い、そんな男と間違って結婚でもしたならば、不幸な道しかないと断言するだろう
僕が彼女の父親なら必ず別れさせる
とても任せられない男だ
そんな17歳高校男子でした
自分の適当さを、嫌なくらい自覚していました
まったく責めることなく、僕を心配してくれ謝った彼女
手をつなぐことさえできない僕でしたが、その日の出来事は、僕の心を大きく動かしました
言葉に出すことなんてとてもできない17歳でしたが、申し訳なさと必死に探してくれていた愛しさ、自分の至らなしさを感じる出来事でした
32年前のあの出来事は、今でも時折思い出すのです
ウブでビビリな田舎の17歳少女を、わざわざ渋谷まで呼び出しといて不安にさせた
17歳少女は48歳になり、10歳になる彼女の娘に向かってそのエピソードを話しました
「あの時の事をたまに思い出しては、ママを大切にしなくちゃな。そう思うんだよ
あの時代にスマホがあったら簡単に会えた
簡単に会えていたら、お父ちゃんはママと結婚してなかったと思う
簡単に会えていたら、何も残らなかったよ
ママの本当の優しさにも気が付かなかったかもしれない
いざという時に、人の本音が分かるんだよ
昔はね、好きな人とお話しするだけでも大変だったんだ
大変だからこそ、お付き合いできた時の喜びは本当に大きいんだよ
スマホはとても便利だけど、それで失う事もあるんだ
ラインで簡単に好きとかサヨナラとか言える
凄く便利だからお父ちゃんも使うけど、便利なものって心が奪われることもある
不便だからこそ、育つ心もあるんだよ」
探している3時間はもちろんのこと、帰りの電車で1時間30分
ずっと妻の事だけを考えていた
ものすごい強い気持ちで考えていた
「大丈夫だうろうか、大丈夫だろうか、大丈夫だろうか」
簡単に連絡がつかなかった時代
スマホがない時代
良くも悪くも、想いつめる時間が多かったように思います
スマホがあると、いろいろなところに気持ちを分散できます
SNS、お気に入りのブログ、ニュースサイト、メルマガ、ゲーム、音楽、動画
あちこちに気持ちを分散できる
それは素晴らしく世界が広がると共に、心が浅くなってしまったかもしれない
1人の異性だけを真剣に考える時間は、かなり少なくなったかと思います
スマホ・ネット社会の悪口を言いたいわけではありません
何事も一長一短です
あの日の17歳少女は僕の妻
先日、妻はスマホを置き忘れて、憧れている人の主催パーティーに出かけてしまいました
東京なので、もうどうする事もできません
10歳の娘は、ビビりで心配性
スマホを置いていってしまった妻に対して、娘は慌てています
「ママ大丈夫かな?ママ大丈夫かな?どうしよう…」
連絡がつかない
娘は半ベソです
「不便なだけで、別に死ぬわけじゃあないよ。ちょっと困るくらいだよ
どうしても連絡しなくてはいけなかったら、誰かから電話借りるから」
楽観的に笑っている僕を見て、娘は「なんでそんなに冷たいの?」と不満顔で睨みます(笑)
そして僕は先ほどのエピソードを話したのです
「たまにはスマホを置いてくのもいいんだよ。ゆっくりいろいろ考える時間は大切だから
大切な人のこととか
大切な想い出とか
自分のこととか
ゆっくり考える時間が昔はあったんだよ」
ネット集客を教えていたりする僕が言うのもおかしいかもしれませんが、時には「無」になる時間が必要かと思います
無になり、何が大切なことで、何が一番したい事なのか
ゆっくり考える時間が必要だと、今の時代は特に感じました
スマホは便利で絶対的に必要なツールです
今はとても手放せません
しかし、自分を見つめる時間は圧倒的に減ってしまったと感じるのは僕だけでしょうか?
自分を見つめる時間を意識的に持たないと、何が本当に大切なことか見失うかもしれません
※古い写真です。カメラマン井上英人
開運セラピスト 中和田オサム
主催 GrinBlue 中和田オサム
セミナー・講座のお知らせ
GrinBlue直営セラピストスクール
JAPAN・BC セラピスト
協会認定セラピスト
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?ヘアメイクVite(美容院)HPはございません
土浦市磨利山新田116-1 スーパーまるも内
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横田美幸
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